経営戦略Day2振り返り
◆経営戦略Day2振り返り******************************1.フラットな業界分析の徹底****************************** 個社の成功や失敗の分析の前に『業界自体の分析』をフラットに行う。
まずは業界分析から始めているつもりでも、ディスカッションが盛り上がると、無意識のうちに個社ありきの話になっていることはよくあること(今回で言うと、ザラのクリックリスポンスに引っ張られ過ぎてしまう、テバの勝因から考えてしまうなど)。
自分が一人で行う分析は勿論のこと、グループでのディスカッションでも議論が反れそうなときに、まず業界自体をフラットに押さえることを今後も意識していきたい。
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2.KSFの前に市場の切り出し
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アパレル業界全体でKSFを考えてしまっていたことが最大の反省点であり、気持ち悪さの原因だった。漠然とした市場の定義でKSFを考えても変数が多すぎて迷子になる。
製薬業界の中でもジェネリック市場を切りだすことで、事業経済性やコストというKSFがきれいに定義できたように、アパレル全体の中でも、SPAは特異であり、独自のKSFをもつ業界であるため、SPAを切り出すことでKSFをみつけられるようになる。
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3.市場の切り出しのヒント
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上記の市場の切り出しの際に、どうやって切り取るべきか、そもそもきりとるべきかどうかを判断するフレームワークとして、①アドバンテージマトリクスや②戦略グループが有益であると実感した。
①アドバンテージマトリクスは、事業経済性(特に規模の経済)が働くかどうか、と、戦略変数の数によって4象限に分けることで、分析しようとしている業界がどこに属するのかを考え、例えばアパレル全体が分散型が大半であるがSPAはそうではない、と判断すればSPAを切り出せばいい。
②そうやって分類しても、特に特化型はいくつかの戦略グループが存在するので、アドバンテージマトリクスで分けた上で、戦略グループで捉えることも検討する(細かく分け過ぎないように注意しながら。KBFだけで分け始めるときりがない。あくまでKSFの観点で)
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3.切り出した市場の意味を把握する。
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KSFが共通する市場を切り出した上で、その市場が属するより広義の市場との比較や、なぜその市場が存在して、従来のプレイヤーが真似できない、あるいはしたくないのかを把握すべき(それが競争戦略を策定する上で外せないため)。
例えば、ジェネリック業界は製薬業界全体の中でなぜ生まれて、他の製薬業界はなぜ真似しないのか(先発とジェネリックのシナジーの弱さ、ブランドの毀損、インパクトの弱さ、カニバリ、VCを根こそぎ変えなくてはならないから、など)
アパレル業界はなぜSPAをしなかったか(メーカーは少量大量、小売は多品種少量を求めるためであり、垂直統合には圧倒的な規模での事業経済性が必須になるから、など
※アルマーニのような高級品はブランドと高収益性でそれが元々可能であり例外。)
例えば、そういった特性が見えると、ユニクロがマーケティングの基本であるSTPのセオリーやアパレルの常識を超えた万人向けのカジュアルを打ち出した理由や、中国生産の意味が見えてくる。
ちなみに、マーケティングのKSF>STP>4Pという組立は今後も重要だが、前提としてのKSFの捉え方が甘かったり、とにかくセグメンテーション、ターゲティング偏重だとKBFを超えた競争の力学や持続的な競争優位性を見落としてしまうと危機感を感じた。結構大きな学び。
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4.規模がKSFの中での先輩との戦い方(ジャイアントキリング)
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SPAではKSFが規模ということは理解できたが、なおさら後発が不利になりそうな業界であると言える。
その中で、ザラが後発ながら規模を実現するためのクイックリスポンスだったという視点がまず重要。
その上で、なぜクイックリスポンスがマーケットに受け入れられ方(顧客に喜ばれたか)は勿論のこと、なぜ先輩がやらなかったのか、まねしなかったのかも考えるべき。
その際に、当該ビジネスを現場間をもって、評論家視点ではなく経営者視点でリアルに感じることから始める。そうすれば、先輩がトレンドをつくっているから、後発がコバンザメ的にクイックリスポンスでリードタイムを短くして、トレンドが(先輩が莫大な広告費用を割いて)作られた後にリサーチしてタダ乗りして作ってもリリースが間に合うという仕組みが見えてきて、真似したくてもできないことがわかる。
またブランドとしてもブランドをパクられる側がパクり返すのは難しかったりブランドの毀損につながる側面もある。
そういった後発が勝てる理由、先輩が真似できない理由を具体的にリアルに考えることが競争戦略上、要になる。
ちなみに、各論になるが、広告費をかけない理由をコスト削減や店頭で勝負できるからなど浅い分析しかできていなかった。コバンザメというポジショニングがあるからこその施策であった。今後は施策の意味をその企業がおかれているポジションや戦略との整合性で深くとらえていきたい。
加えて、先輩に真似されない障壁の作り方に、リスクをとるということがある。
先輩が同質化戦略を取る際に、とくに失うものなく新製品を出して同質できる場合と、バリューチェーン全体(レガシー人材や負債含めて)やブランド本体を変えてリスクを取らなくてはならないものなど多種多様であり、同質化のしやすさを考えつつ、後発だからこそ取れるリスクを取るというスタンスも重要。
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5.新しいマーケットでの後発の戦い方
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とはいえ、新興国ではトレンドをつくってくれる先輩がいないので、いままでのコバンザメ的な勝ち方はできない。
そういったとき、新興国ではそもそも先発側の勝ち方で、むしろGAPやH&Mがコバンザメになるようなポジショニングもあり得るという視点は新鮮であった。
また、事業経済性が働く範囲の生産キャパの限界に対する配慮、物理的な距離から来る規模の経済の限界、遠隔の地球の裏側では戦い方を変えるのであれば、追加の生産設備はそういった戦い方に合わせて規模の経済が働くようにしなくてはならない、など新しいマーケットでの後発の戦い方の視点も学べた。
なお、新しい成長戦略、マーケットを選ぶ際に儲かるのか、勝てるのかの二軸を両方抑えること、そして儲かるのかを考える際に、規模、収益性、成長性をおさえないと偏った見方になりかねないし、勝てるのかを測るためには、コストか差別化かもあるがそもそものKSFをしっかりおさえていないとできない。
ただ、いずれにしても、何か課題か目的かを明確に意識した上で、戦略オプションを作り、評価軸をつくり、判断しなくてはならない。
◎自分事としての学び、意味
将来自分が経営者として事業をする領域でも活かせる考え方だし
現在自分が関わっている新卒採用支援でも、市場全体の特性(会員数を中心とした規模型から特化型への移行と手法の多様化)や、市場の切り出し方、先輩への勝ち方などを考える際にKBFに偏って考えがちだが、コスト優位性や先輩企業の同質化対策も考えるようにしたい。
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